AIイラストと求められるモラルについて【SamuraiGG AIアート部座談会レポート】

SamuraiGG

いまやテレビ番組でも取り上げられる「AIアート」や「AIイラスト」。この技術により誰でもハイクオリティの絵が生成できる時代になりました。その一方で、一部の人の使い方や発言によりAIイラストに対する物議をかもしています。議論が生まれる原因の一つとして法律でもAIイラストに関する使い方について規定がされていないため、判断は個人にゆだねられており、その個人の価値観が人によって異なるため問題が起きやすいというのが理由と言えます。
今回、SamuraiGuildGamesのAIアート部で座談会を主催。AIイラストの問題点についてギルドメンバー6人でAIイラストについて3つのテーマを選定し、パネルディスカッション形式で話し合いました。

この記事を書いた人
joeyasu

2022年8月にWeb3知識0でSamuraiGGに飛び込んだ2児の父。現職はエンジニア。過去MagictheGatheringのプロツアー出場経験あり。SamuraiGGではコミュニティーマネージャー、AIアート部・麻雀部・英語部の部長。
Twitter @joe_SamuraiGG

AIイラストが抱える現状の問題とは

AIイラストが抱える現状の大きな問題とは、ずばり「著作権について」です。

AIアートが日本よりも進んでいるアメリカでは、2023年2月にアメリカ著作権局が「AIツールで生成された絵に関しての著作権はない」と発表しました(参考記事:ars chnica )。法解釈で、“人がどの程度介在したかの程度により著作権が付与されるかが決まる” (意訳)とあり、明確な定義はありません。

しかし日本では判例もなくグレー。曖昧です。それゆえ個人の価値観に使用がゆだねられていて、だからこそ様々な意見の衝突が発生しているのが現状です。なので、今できることはAIイラストを使用する人全員が自分の意思を持って、AIイラストをどう使っていくかを考えることだと思い、座談会を企画しました。

今回は以下のような人が集まりました。

  1. リアル絵は描けないがAIイラストでイラスト生成を楽しむようになった人
  2. ずっと昔から手書きや手作業で創作活動している人
  3. 部活動には(そこまで)参加していないものの、SamuraiGG運営としてAIアート部を見てきてAIの進化を目の当たりにしている人

それぞれの立場の人、2人ずつに集まってもらい、現在のAIイラストに対して思うことを3つのテーマについて話し合いました。

テーマ①「あなたにとってのAIイラストとは?」

最初のディスカッションテーマはパネリストがAIイラストに対してどんな印象を抱いているかについて話しました。

joeyasu: AIイラストツールの愛好家としての立場から言わせてもらうと便利で楽しいコンテンツです。特に絵心のなかった私にとってはできなかったことを疑似的にとはいえ可能にしてくれるツールで、魔法が使えるようになった気分です。

Lateω:そうですね。私も配信とかSNSで仲良しのフォロワーさんに生成した絵をプレゼントしたら喜んでもらえたのもあって、すごく楽しいツールだと思っています。

レーナ:アナログもできる人間の立場からも、AIイラストツールのクオリティーの高さと生成のスピードは驚異的だと思います。

nico:先日Lateωさんのイラストを手書きで書いたんですが、数時間かかりました。似たようなものをAIイラストツールで出力したら、数秒で容易にクオリティー超えられてしまってさみしいものを感じました。構図などはまだまだ甘いところはあるものの、やはりこのクオリティーのものが短時間で生成できるのはすごいことだと思います。

joeyasu:私も先日nicoさんに構図の指導を受けました。確かにパースを理解すると、AIにはできていない点はありますね。

nico:でも背景は目を見張る速度とクオリティーですし、うまく手書きを使いつつAIを利用できたらと思います。

ブラウ:私は「midjourney」というツールを使っていてますが、イラストのクオリティーの高さと生成速度が速いことに感心しています。最近では、アートコンテストでAIイラストが優勝した事例もあるので、出力結果次第にはなりますが、コンクールで受賞できる作品を手掛けるポテンシャルを秘めていてるだと驚きました

ヨウ:これからの時代はうまくAIを使いこなせる人が強い時代だなあと思います。私もChatGPTを愛用していますがAIの精度や効率はすさまじいです。便利なツールというのは疑いようがないですね。

絵を描くのが不得意な人にとってはAIイラストツールの登場は新しい体験を与えてくれる楽しい存在である一方、イラストレーターやクリエイターにとっては脅威と感じる側面もあるということが分かりました。しかし、クオリティーは確かなものなので、上手に使いこなしていくのが時代にあった解決策だと感じました。

テーマ②「あなたにとってAIイラストでやってはいけないと思うことは?」

続いてのテーマは、AIイラストを使用する際のルールについてです。執筆時点(2023年5月)日本では法令が定まっていなく、その活用の仕方や楽しみ方はユーザーにゆだねられています。実際にAIイラストツールを利用したり、コミュニティーに参加しているパネリストは日本の状況をどのように見ているのでしょうか。

joeyasu嘘をつくことや特定の人を悲しませることはダメだと思っています。具体的にはAIイラストであることを意図的に隠すことや人の絵や写真を無断で「i2i(image to image/AIが似た構図のイラストを生成する機能)」することを意識してます。
先日、ツイッターである絵師さんの手書きイラストを無断でi2iをして「AIで出力してみました!」とリプ欄に貼った人を見かけました。絵師さんが「すみませんが私の絵を素材にしていただきたくないので削除願いますか?」と丁重に依頼していたのですが、当人は完全に無視して拡散までする始末…。絵師さんが大変心を痛めていました。
法令がきっちり決まっていない以上やっぱり倫理や道徳心が判断のよりどころになるんだなと思った出来事ですね。

Lateω:同感です。私も人を悲しませることはよくないと思いますね。あとは、人が頑張って作った絵を簡単にトレースするような行為よくないと思います。その人が頑張ってきた過程を無視して結果だけをもっていくというのはよくないですよね。

レーナ:私が気になったのは嘘をつくことですね。さまざまなデザインやイラストのコンテストや投稿サイトで、AIツールで生成した作品と思わしきものが散見されるようになりました。AIツールで生成しているのに、「手書きです」と誤魔化すのは違うかなと。

nico:先日とあるコンテストで優勝した作品が実はAI製だと作者が告白した事例がありましたね。しかも、そもそもそのコンテストはAI作品禁止というルールがあったといいます。
作者曰く「AIの実力を試したかった」とのことでしたが意図的に大会を妨害していた事例です。前提として大会のルールは守る必要がありますよね

ブラウ:人を悲しませることと言えば、先日びっくりした事例がありました。亡くなられた絵師さんの絵をi2iしている人がいたんですよね。遺族や近しい人がとても悲しんでいました。

ヨウ:それは胸が痛みますね…。倫理感と同じぐらい、規約違反をしているAIイラストも気になります。例えば「ウマ娘プリティーダービー」は、2次創作が条件付きでOKなんですが規約違反者が散見されています。R18なのに、規約を無視したイラストが投稿サイトに乱立。ユーザーが規則を守らないのは当然違反ですが、その一方でこういう規約違反のイラストは削除できるようコンテンツ提供側が規約で対応していく必要があると思っています。

すでに問題になるような出来事もいくつか起こっていることを知り、ますます法令が必要だと実感しました。そして、大会やコンクール、イラスト投稿サイトなどの運営側はユーザーが安心安全に利用できるようAIイラストの使用についての規約を用意し、対策する潮流になってくるというのが新しい学びでした。

テーマ③「AIイラストは今後どうなっていってほしい?」

最後のテーマはAIアートの未来についてです。パネラーそれぞれがAIイラストに対してどのような期待を抱いているのかがポイントとなりました。

joeyasu:やっぱり法整備が早く実施されてほしいですね。整備されるまでは一人一人が異なる立場を理解して、著作権に対してのモラルを守ることと、AIイラストを扱うにあたってのモラルというものを、ユーザーやAIアートコンテンツ提供側が形成していく姿勢が大事になります。

Lateω:確かに人にはそれぞれの価値観がありますし、ルールがないと折り合いのつかない人同士もいるので、法整備は大事ですよね。

レーナ:法令や規約のほかに、AI製のイラストにはAI製だとわかるような表記がされるとうれしいですね。AIイラストが創作活動を補助するツールとしてうまく活用できるようになったら便利になると期待しています。

nico:AIイラストツールによって創作活動のスピードがものすごくアップしますよね。人間ではできない発想がポンと出てくるのも創造性向上になります。やっぱり万人に愛用されるツールになっていってほしいです。

ブラウ:法令が決まるまではお互いがモラルを守るのは大事ですね。ただし自分の考えにそぐわない人を見た時の対応も重要で、こんな人もいるんだなと考えるようにしています。

joeyasu:そうですね。相手がどんな人かわからないオンライン上だからこそ、自分や身内に危害が及ばないなら、スルースキルも大事ですね。

ヨウ:私はちょっと違った見方ですが、あと1,2年でAIイラストの法規制の成立は期待できないと思っています。過去の例をあげると、ショッキングな少年犯罪が起きて少年法がようやく改正されたように、日本では新しい法律を成立するには時間がかかるイメージがあります。だからこそ、コンテンツ自身が規約でしっかりと守ることが必要となるでしょう。

AIイラストツールという新しい文明が誕生し、便利で楽しい一方、課題も多くあります。うまく折り合いをつけて使い方を模索していこうというのがパネリストの共通見解でした。

AIイラストが誰もが心地良いツールであるために

AIの進化は目覚ましく日々大きく変わってきています。3カ月後には今想像もできないくらいにさらに進化しているかもしれませんし、私たちの価値観も今と大きく変わっているかもしれません。
そんな時代だからこそ、うやむやにするのではなく今と向き合うべきだと考えて、ギルドメンバーでディスカッション形式の座談会を開催しました。自分だけでは知りえなかった新たな知識や思考を得ることができて、さらにAIイラストの世界を理解できました。

これからもAIをめぐる問題は多く出てくると思います。大事なのは一つ一つの出来事に対して自分はどう思うかをしっかり考えて、使い方を見つめ直すことではないでしょうか。これからも楽しくAIと付き合っていけるよう、勉強会や座談会を通して学んでいきたいです。


SamuraiGGではAIアート部や、Web3勉強会、意見交換会を定期的に実施しています。興味を持った人はぜひDiscodeに参加を!

https://www.samuraiguild.games/

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