Alibaba Cloud ブロックチェーンハッカソン受賞チームインタビュー/チーム強制入場・ギルドマスター田中幸一郎

5月17日・18日に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催されたTEAMZ Web3 Summit in TOKYO。その中で、Alibaba Cloudによるブロックチェーンゲームのハッカソンの受賞式が行われ、SamuraiGuildGames(以下SamuraiGG)から3チームが受賞しました。今回は、優秀賞を受賞したチーム強制入場のメンバーでもあり、SamuraiGGギルドマスターである田中幸一郎さんにギルドがハッカソンに参加する意図や、ゲームギルドとしての目指す場所について話を聞きました。

ハッカソンとSamuraiGGの理念に親和性を感じた

SamuraiGGがハッカソンに参加したのは今回が初めて。なぜ参加を決めたのか、そしてなぜAlibaba Cloud主催のハッカソンなのか。経緯について話を聞きました。

田中幸一郎さん(以下田中):私たちギルドが掲げている理念と今回のハッカソンが親和性を感じたからですね。SamuraiGGの理念と言うのは「遊ぶ(PLAY)」「学ぶ(LEARN)」「創る(CREATE)」「稼ぐ(EARN)」の頭文字をとって「PLACE」と呼んでいます。これに「IDENTITY(主体的になる)」をプラスし、ギルドメンバーが自分の力で楽しみながら学んで稼げるようになることを目指し、体験を提供しています。


今回のハッカソンはブロックチェーンゲームハッカソン “#asobiHack_Tokyo”というタイトルで、「ブロックチェーンを活用した面白いゲームと、サステイナブルなコンテンツの提供を実現する新たなビジネスモデルの創出」がテーマでした。まさにSamuraiGGのアウトプットとして絶好の機会だと思い、ギルドメンバーへハッカソンエントリーを呼びかけました。

ギルドメンバーと伴走した2カ月間

今回のハッカソンは3月22日からスタートし、5月17日の授賞式まで約2カ月間と長丁場。その期間を参加チームとどのように走り切ったかを聞きました。

田中:私はこれまで数々のハッカソンに出場してきた経験があるので、その知見を活かして審査されるポイントをアドバイスしました。具体的には「投資家に出資をしてもらうための事業計画」の作り方です。なので、投資家目線での評価基準を伝えていきました。また、他のコアメンバーがブロックチェーンの活用の仕方やゲーム性を高める方法についてアドバイスをし、三位一体でサポートしました。

今回エントリーしたチームの中には、ハッカソンへの参加が初めてのチームもいたと言います。

田中:ファイナルに出た「C4D(CYBERDIVER)」や「GoLifeHackers」はハッカソン自体が初参加でした。全てイチから教えるのではなく、各チームのアイディアを持ち寄ってもらってそこからそれぞれがブラッシュアップしていきました。

「GoLifeHackers」は、SamuraiGGの囲碁部から発足したチームなのですが、3月の時点で3チームエントリーがあり、それを1つのチームに再編成し、2カ月間でゲーム制作まで到達しました。囲碁とAIを組み合わせたゲームを、どうアプローチすればユーザー獲得できるかをアドバイスしました。

「C4D(CYBERDIVER)」は、ブロックチェーンのエンジニアだけれどもゲームは作ったことがないチームでしたが、2カ月間で技術面がかなり向上し、最終的には本格的なFPSゲームが完成していました。

ファイナルで各チームのプレゼンテーションを観た時は、原石が宝石に変わるとはこのことだ!と感動しましたね。

ギルドが掲げるミッションを達成できた瞬間

約2カ月間の審査を経て、5月17日に迎えた授賞式。事前に連絡はあったものの、どの賞を受賞したかは式で発表されました。そのときの気持ちを教えてもらいました。

田中:素直にすごいうれしかったです。私たちのチームはトランザクションに注目したブロックチェーンゲームのプロジェクトで、より自由にメタバース空間を楽しめるといった提案が評価のポイントだったと考えています。

最優秀賞は逃したものの、SamuraiGGから3チームもエントリーしていることに驚きました。しかも「GoLifeHackers」にいたっては、もともとなかった特別審査員賞という急遽できた賞を受賞できました。こんなことは中々ないのですごい快挙です。

SamuraiGGがミッションとしている、言語の壁、知識の壁を超えて、Web3の世界へ誰でも参加できるような環境をつくることがこの結果により体現できました。

ハッカソンはよいアウトプットの場

ゲームギルドとして新たな可能性を見出した今回のハッカソン。ハッカソンはどのような可能性を秘めている場なのでしょうか。

田中:今後もハッカソンには参加もしたいですし、私たちでハッカソンを主催したいとも考えています。

ハッカソンやアイディアソンは、ほかの人から評価してもらう場所としてすごく有効です。アウトプットして社会的に評価されて自信が付いて、その人の人生が変わると思っています。例えば、ハッカソンの参加がきっかけで出資してくれる企業と出会い、事業化して新しいプロジェクトが生まれる。そうすると、Web3業界が活性化していきますよね。このような可能性が誰にでもあるというのが、ハッカソンの価値だと考えています。今回受賞したプロジェクトがどんな展開をみせるか私自身もとても楽しみにしています。

可能性を見出し夢を叶えるギルドへ

最後に田中さんはギルドマスターとして、今後のギルドの目指すべき姿についてこのように話してくれました。

田中:Web3という新しい時代はまだ参入のチャンスがあります。でも、先進国の中で日本はITリテラシーが低いとされていますよね。言語やリテラシーの障壁が理由で、チャレンジできないのは非常にもったいないと課題感を抱いたのも、ギルドを結成したきっかけのひとつです。

昨年4月にギルドが発足し、学びの場を提供し普及活動をした結果、ハッカソンに参加したいと声をあげてくれたメンバーが出てくれました。そして、Alibaba Cloudという世界的な企業に評価されたことは、ギルドとしてひとつの成功を遂げたと言えます。これからもSamuraiGGから新しいアイディアが創出されることを期待していますし、夢を叶える場所として存在していきたいです。

田中幸一郎
Samurai Guild Games ギルドマスター。Xクリエーション株式会社 執行役員。情報経営イノベーション専門職大学客員教授。株式会社ONLIE 取締役。

取材・撮影・執筆:GOMOQU編集部

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